霧雨が降る中、もうこれで歌ができなかったら応募するのはあきらめようと思いながら碓氷峠の熊野神社に行った。

その石段を登ると両脇に丸い石に風車の模様が彫られた石が置いてあった。
これを見た瞬間、「これは歌になる」と感じた。

神社をお参りし、その石段を下りていくと、まるで天から降ってくるように「くるくる回れ石の風車」という歌詞とメロディーが同時に浮かんできた。

峠を群馬県側に少し下ると、弁慶が爪で掘ったという歌碑があった。
霧雨の中、舗装されていない山道を歩いた。

その後、峠の茶店によって日本武尊にまつわる伝説が書かれている小冊子を購入した。
昔、日本武尊が碓氷峠に向かう途中、濃霧に巻かれて道に迷われてしまったこと
その時、八咫烏（やたがらす）が飛んできて、梛木の葉を落としながら道案内をしたこと
霧が晴れ、眼下に棚引く雲海を見て、相模灘に身を投げ嵐を鎮めた弟橘姫のことを思い、「吾嬬者耶（あずまはや）」と三度嘆かれたこと

など、この峠にまつわる伝説を読んだ。

車に戻り、積んであったギターを取り出し、さっき浮かんだフレーズを忘れないように書き留めた。

この曲は、この10年間、ライブでは必ず歌ってきた曲だ。
おそらく練習も含めれば1000回以上歌ったんじゃないかと思う。

今日は10年ぶりに神社をお参りし、峠道を歩いた。

明日の大賀ホールでは、作った当時の気持ちに戻って、心を込めてこの歌を歌いたい。